EAで勝つための「正しい期待値」とは? ~欲をコントロールする方法~

EAの世界では「月利20%」「日利1%」「億を狙えるEA」——そんな射幸心を刺激する言葉が溢れています。

僕自身も、自作EAの優位性の説明のために「複利でXX億円!」と表現してしまうことがあります。

しかし、そこで一度、冷静に考える必要があります。

■冷静に見た投資の現実

実は、投資の世界では年利20〜30%で安定して増やせたら「超優秀」です。

  • インデックス投資:平均年利 5〜6%
  • 有名ヘッジファンド:10〜20%
  • ウォーレン・バフェット:約20%(50年以上・・!)

つまり「安定して年利20%」というのは、実は「世界的トップクラス」の領域だったりします。

■EAが優れている理由と落とし穴

確かに、EAでは短期的・一時的に月利20%・30%以上の成績が出ることもあります。

そこだけ切り取って、すごいEAだと見せている業者も沢山います。

とはいえ、切り取っていない闇の部分を見ると、

翌月に「-30%」以上マイナスが出ているということも珍しくない、というのが実情です。

これは「EAの作りが劣悪」な場合もあれば、相場環境がEAの想定外の一時的な期間に入っているという場合があります。

「EAの作りが劣悪」な場合は、ある1ヶ月だけは爆発的に利益が出ていたことがあるが、長期では完全にマイナスの期待値です。

「EAの作りが良心的で高品質」な場合は、一時的にプラスもあればマイナスもあるように見えていて、それは同然の話であり、そして長期ではプラスの期待値を持てるでしょう。

■長期バックテストの正しい見方

多くの優秀なEAは、15年・20年のバックテストでトータルプラスになっています。

しかし月別の成績を見ると——

・プラスの月もある

・マイナスの月もある

・時には数ヶ月連続マイナスもある

ここで、一時的に負けても「織り込み済み」なら問題ありません。

長期で期待値がプラスなら、短期の負けは誤差と捉えることができます。

以下は僕のEAのQuantAnalyzerの画像ですが、15-16年バックテストでトータルで毎年プラスを出しています。ところが、中身を見ると、月別ではマイナスが出ていることが分かるかと思います。

ナンピンマーチンのEAだと全て黒字、というものもありますが、あれは含み損が解消されるまで損切りしないためそういう表現ができます。実際には上記のように損を出し、損切りをしながらトータルでプラスを目指すもの、それはEAでも裁量でも同じです。

■欲をコントロールするための2つの視点

① 年利30%を「大勝利」と定義せよ

  • 年10% → 成功
  • 年20% → 優秀
  • 年30% → 超優秀

この視点を持てるかどうかで、投資寿命は大きく変わります。

② 期待値は「複数EA × 長期」で測れ

1つのEAに夢を託すのではなく、

  • 通貨ペアが違う
  • 時間足が違う
  • ロジックが違う
  • 開発者が違う

このような視点で、重ならないEAを選定して分散投資するのが基本です。

さらに追加で重要な考え方をお伝えすると、

「マイナスになってもメンタルが崩れない資金量で運用する」

最も大切なのはこの考え方だったりします。

その口座の通帳がなくなっても生活がびくともしない金額だけを入れて運用するといいかと思います。

■まとめ

EAユーザーが持つべきものは「ヒリヒリするような、上がるか下がるかの興奮」ではなく「冷静な期待値」です。

冷静な期待値:

  • 年利10〜30%で大成功
  • 月間の成績はブレて当たり前
  • マイナスは「織り込み済み」なら問題なし
  • 分散と長期で「勝ち筋」を掴む

億を狙うのは悪いことではありません。

ただしそれは、過度な期待ではなく、正しい期待値を積み重ねた結果として現れるものです。

「欲望」は、大きなことを成し遂げる際に絶Oに必要なもの。大事にしつつ、欲望に飲まれるのではなく、適切に活用して管理する対象です。

EAで勝つ人は、欲を捨てた人ではなく、「欲を正しく管理できた人」とも言えます。

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